美肌菌バンクの効果・懸念・これからを聞く~長崎国際大学にて

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自分の美肌菌だけを特別に抽出して
培養してから戻す、「美肌菌バンクプロジェクト」

果たして、他の常在菌に対してどういった影響があるのか?
ひいては人体に対して、何かしら害は無いのか?

素朴な疑問を、今度は大学の先生にお伺いして来ました~

臨床実験の現場、長崎国際大学へ

まず、この美肌菌バンクプロジェクトは

・長崎国際大学薬学部の野嶽勇一先生と榊原隆三教授
・東京女子医科大学の皮膚科専門医、出来尾格(できお いたる)先生
・株式会社バイオジェノミクス

の3者で構成されています。

今回、せっかく長崎まで行くなら
野嶽先生にもお会いしたいなあ・・と、ダメ元でお願いしたら

野嶽先生

なんと!快くお引き受け頂きまして@@

ど素人の「何がわからないかもワカラナイ」レベルの質問にも
親切に(しかもかなり分かりやすく)お答え頂き
プレスリリース用のスライドでも、ご説明頂きました。

ちなみに、当記事に載せております画像は
野嶽先生より頂戴した資料を撮したものです。

この他にも、書けないけど
とても興味深いデータが沢山あったんですよ。

皮膚常在菌そのものを使った新しいスキンケア

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皮膚常在菌を育てるという観点からは
過去にも幾つかのメーカーから化粧品が出ていましたが

今年になって、今度は「菌そのものをコスメに」という
新たな動きが出てきました。

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例えば、この美肌菌バンクは
生きた(仮死状態の)S.エピデルミディスを使う点が画期的なのですが

他社でも、死菌体を使ったコスメが出てきていたり
個人的に、非常に面白い現象だと思っています。

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美肌菌の選抜方法については
グラム染色、PCR判定(遺伝子解析)、代謝試験があります。

バイオジェノミクスの研究室の方は
もはや美肌菌選別のプロなので(笑)、色・形・ツヤを見ただけで
ほぼ分かってしまうそうですが、もちろん確認の検査は行われます。

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選抜して増やした美肌菌は、スキムミルクと混ぜて
凍結乾燥し、休眠状態にします。

「なぜスキムミルク?」とお聞きすると

「水分と混ぜた時の分散の仕方とか
皮膚に良いというよりは、菌が食べて
すぐ活動できるようにという意味合いで
最低限の栄養分が含まれているから」とのことでした。

また、使用時に混ぜるローションには
水分が含まれているので、休眠中の菌が復活するんだとか。

臨床試験の結果、美肌菌は10倍から20倍増に!

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臨床試験は、2012年の4月に
長崎国際大学の女性教職員と女子学生
20代から50代の21名に対して行われました。

「プラセボ群」と「美肌菌戻し群」に分かれ

美肌菌戻し群は
一ヶ月後には美肌菌が10~20倍増加と
肌への良好な効果が認められました。

プラセボ群にも、その後美肌菌を入れると
同様の美肌菌増加が認められ

逆に、美肌菌戻し群に投与をやめると
肌は1ヶ月掛けて、元のレベルに近いところまで戻りました。

また、今回の臨床では
「1回で13億個の美肌菌を戻す」という1点だけでしたが

菌の数をもっと増やした方がいいのか
少ない方がいいのかは、まだ今後追いかけられるそうです。

保湿・抗菌・セラミド合成!

美肌菌戻しを8回行った、1ヶ月後のデータでは

・グリセリンの量が大幅に増え
 
・pH値が下がり弱酸性に
 
・抗菌機構としては乳酸、プロピロン酸など増
 
・水分量が増え
 
・蒸散量が減り
 
・油分量も少し増

肌が水分を保持する力が上がった為、しっとり感が持続し
油分量は増えているのにも関わらず
テカリや不快なベタツキ感は無かったとのこと。

美肌菌の増加が10倍から20倍のレベルでは
他の懸念事項(シミ等)についても
問題は認められなかった様です。

今あるデータからでは、保湿改善機構のみの言及で
ラメラ構造がどうこう、とはまだ語れませんが
肌への効果は充分に認められたと言えるでしょう。

美肌菌が増えるとセラミドの量も増える?!

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美肌菌は複数の抗菌物質が出ることは既に論文があり
ペプチドや化合物など
セラミド合成増も期待されるとのこと。

・リン脂質から遊離脂肪酸
・Hisからウロカニン酸
・Na+/H+トランスポーターNHE1
   → 弱酸性に
 
・黄色ブドウ球菌など悪玉菌の増殖を防ぐ
・セラミド合成

菌は肌の上で、一生懸命縄張り争いをしている訳ですから

美肌菌が増えて優勢になったら、その分
悪玉菌が劣勢になるというのは、なんとなく分かるのですが

「セラミドもなんですか?!」と聞くと
どうも、酵素の反応を受けた代謝物として
セラミドが合成されるそうです。

そして、弱酸性の方が
酵素の働きも良いとのこと。ほほう!

代謝試験は面白そうだけど面倒臭そう

(これは個人的な興味のメモです)
具体的な判定作業について伺うと

アピスタフキットという
色んなエサを与えて、色で微生物を識別する
一般的なキットがあると教えて頂きました。

シャーレに、コロニーを懸濁した液を落としていき

グルコースを与えたり
スクロースを与えたりして性質を見る
「定性的な」判別方法なんだそうです。

美肌菌バンク(美肌フローラ)の今後は?

美肌菌戻しの方法を確立された今
今後、どのような研究を進められる予定かお聞きすると

実際にどんな成分が増えてるかという
「メタボローム解析」
皮膚の細胞レベルでどんな変化が起きているのかを
調べる準備中とのことでした。

バイオジェノミクスさんも未来展望で話されてましたが
今度は「美肌菌生産物質」の商品化が期待されますね。

皮膚環境においても
プロバイオティクスから、バイオジェニックスへ!?

考えただけで、ワクワクします*^ ^*

(スミマセン長くなったので、続きます!)

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